退職時の取扱い(社会保険)

先日、社会保険料の改定の話をしましたが、今回は退職時の取り扱いについて説明しましょう。


ポイントは「先月分の保険料は、当月の末日に納付する」と「資格喪失日のある月の保険料は徴収しない」です。


よく、「退職月までの保険料を徴収して終わりにしたら、保険料は翌月まで引き落とされてしまった」とか「月中の退職にすると、会社は1ヵ月分、保険料を得する」とか、聞かれたことがあるかと思います。


「退職月までの保険料を徴収して終わりにしたら、保険料は翌月まで引き落とされてしまった」というのは、徴収保険料の把握にずれがおこってしまっている状態ですね。

8月に退職された方の最終の保険料は、9月末に会社が納付しますので、「9月末に納付する分の保険料まで、退職時の最終の給与から天引きしておかなくてはならない」ということになります。

「7月分の保険料を8月分の給与から控除する(天引きする)」ことにしている会社でしたら、8月退職の場合には「7月と8月、2ヵ月分の保険料を、8月の給与(退職時の最終の給与)から控除する」ことにしないと、1ヵ月帳尻が合わないことになりますね。

社内で、「何月分の保険料を何月分の給与から控除するのか」ということを明確にして、退職者からの問い合わせにもきちんと回答できるようにしておきましょう。

ここまでは、先日のおさらいです。


では、「資格喪失日のある月以降の保険料は徴収しない」とは、どういう意味でしょうか。

そもそも健康保険の「資格喪失日」とはいつでしょう。

「資格喪失日」=「退職日」…ハズレです。

正しくは「資格喪失日」=「退職日の翌日」となります。


8月31日付退職の方の「資格喪失日」は?

翌日の9月1日ですね。9月1日に健康保険の資格を喪失しますので、この方は9月分からは「国民健康保険(国保)」の保険料をご自身で納めることになります。

当然会社は、8月までの保険料(9月末納付分)を負担します。


では、8月20日付退職の場合はどうなるでしょう?

翌日の8月21日が「資格喪失日」となりますので、「資格喪失日のある月の保険料は徴収しない」ことから、この方は8月分から国保に切り替わるということになります。

会社の負担は7月分(8月末納付分)まででいいかわりに、退職者は8月分から国保の保険料の負担が発生することになります。

これが「月中の退職扱いにすると、会社は1ヵ月分保険料を得する」ということなんですね。


たいていの場合は給料の締め日に合わせて退職等の処理をされるかと思いますが、一月分の保険料負担を抑えるために、故意に退職日をずらしたりするのはよくありません。

会社の給与規定等に従って、常にきちんと処理するよう心がけましょう。